NewsPicks非公式「富士総合火力演習オフ会」を開催したら「海に行ってきたんですか?」と質問されるに至ったのでその顛末を書いてみる/NewsPicks非公式 社会科見学オフ会シリーズ第1弾
きのう(2018年8月25日)は静岡県御殿場市の陸上自衛隊東富士演習場で開催された「陸上自衛隊 富士総合火力演習 教育演習」を見学してきました。
以前告知した通り「NewsPicks非公式オフ会」として、私の他にご参加者を募った上で行ってきました。
私にとっては「2年ぶり数回目」の富士総合火力演習ですが、他の皆さんは「はじめての総合火力演習」ということでした。そこで、私が今までの経験で得てきたノウハウに基づいて、服装や注意点などをご案内させていただきました。
なお、オフ会の内容としては「富士総合火力演習を見学する」というもので、幹事業務は非常に楽なものでした。基本的には「自衛隊の皆さんが頑張るのを見ているだけ」なので、幹事の業務と言えば「チケットを入手して配布する」だけです。集金や計算も必要ありませんでした。
当日は朝の7時過ぎにJR御殿場駅に集合。極めてハードなスケジュールでしたが、私以外の皆さんは御殿場駅周辺に宿を取られていたようでした。予約、取れたんですね……。
御殿場駅から会場まではシャトルバスも出ていますが、列ができていたのでタクシーで移動。タクシーでも3,000円程度です。
なお、入場券とは別に「駐車券」がある場合は周辺の駐車場に車を停めて、そこからシャトルバスで移動することもできます。
会場に着くと既に迫撃砲や榴弾砲が撃っています。もっとも、これは演習ではなく「点検射」と呼ばれるもので、照準器の補整や調整のための射撃で、「演習前のリハーサル」です。
10時になると「状況開始」を告げるラッパ演奏が響き渡り、演習がスタートします。
演習は装備品を紹介する「前段演習」とストーリーに沿って部隊が作戦を展開する「後段演習」に分かれ、まずは前段演習です。
一番最初に登場するのは「遠距離火力」である榴弾砲です。陸上自衛隊では「野戦特科」に配備されている装備ですね。
次に迫撃砲や対戦車ミサイルや指向性散弾などの「中距離火力」、対人狙撃銃や小銃などの「近距離火力」が登場します。ただし、これは絵にならないので撮影しませんでした。
続いて、「ヘリコプター火力」として登場するAH-1S対戦車ヘリコプターです。例年であればこの他にAH-64D戦闘ヘリコプターが飛ぶのですが、今年2月に佐賀県で墜落した事故の影響を受けて現在も飛行停止措置が続いているため、今年はAH-1Sのみの展示となりました。
「対空火力」として登場する87式自走高射機関砲に続き、お待ちかねの「戦車火力」です。今年は74式戦車の登場はなく、90式戦車・10式戦車・16式機動戦闘車のみでした。ちなみにこの写真、戦車の射撃時の発砲炎を写したものです。火炎放射器ではありませんので、お間違えのないよう。
戦車の射撃で前段演習は終わり、休憩を挟んで後段演習が始まります。シナリオは昨今の安全保障環境を反映させた「島嶼防衛・奪還」というものでした。
島嶼に緊急展開した即応機動連隊(という設定)の16式機動戦闘車。16式機動戦闘車はタイヤ式の車体に105mmライフル砲を搭載した装甲戦闘車両です。
タイヤで自走して遠距離を(場合によっては高速道路も)走れるだけでなく、航空自衛隊の輸送機による航空輸送にも対応しているため、高い戦略機動性を持つことが特徴です。戦車は長距離走行に向かず(もちろん高速道路は走れません)、遠距離の輸送はタンクトランスポーター(戦車運搬車)を必要とするばかりか、サイズや重量から空輸できないことを考えると対照的な車両ですね。
16式機動戦闘車の奮闘も虚しく、島嶼が敵に占領されてしまいました。そこで、水陸機動団が海上自衛隊の輸送艦から水陸両用車AAV7とCRRC(戦闘強襲偵察用舟艇)で上陸します。
AH-1S対戦車ヘリコプターの横で偵察するOH-6D観測ヘリコプター。本来ならOH-1観測ヘリコプターも配備されているのですが、2015年8月にエンジンの不具合が見つかったことから現在も飛行停止措置が継続され、今年も登場しないままとなりました。
対戦車ヘリコプターの援護の下、CH-47JA輸送ヘリコプターとUH-60JA多用途ヘリコプターから地上部隊が展開して橋頭堡を確保します。
橋頭堡からLCACで上陸した89式装甲戦闘車や10式戦車といった装甲戦闘車両の部隊が展開します。互いに援護しながら前進する「交互躍進」で戦線を押し上げ、敵陣に突入していきます。
そして上陸した部隊は占領地域を広げ、島嶼を順々に奪回していく「戦果拡張」のフェーズに入るところで演習は終了となります。
演習終了後は1時間ほどの休憩を挟んで「装備品展示」となります。演習に参加した装備や、それ以外に陸上自衛隊が保有する主要な装備が展示されます。装備品を展示した部隊の中には大阪府の千僧駐屯地や群馬県の新町駐屯地から参加した部隊もいました。いずれも前日や当日早朝に駐屯地を出発して、数時間掛けて静岡県御殿場市の東富士演習場まで来たようです。
なお、富士総合火力演習の支援のために東北から参加した部隊もいたようで、第6師団(担任区域:南東北)麾下の第6後方支援連隊(山形県東根市の神町駐屯地に所在)の隊員も多く見かけました。
また、富士総合火力演習はもともと陸上自衛隊内部向けの「研修」としてスタートした行事であることから、各地の新隊員教育隊や陸曹教育隊、陸上自衛隊富士学校の幹部初級課程(BOC)の隊員、防衛大学校や防衛医科大学校の学生も教育研修として見学に訪れていました。
ちなみに会場でOD色の作業服を着ているのが防衛大学校と防衛医科大学校の学生ですが、帽子に白いネームタグを付けているのが防衛医科大学校の学生(防衛大学校の学生は何も付けていない)だそうです。よく見てみると会場での行動も大きく違い、休憩時間中には防衛医科大学校の学生がかき氷を買い食いしている横で、現場での買い物を禁じられた防衛大学校の学生はトイレに行くだけでした。装備品展示の際も、OD色作業服を着た女子学生が99式自走榴弾砲の前でポーズを撮って記念撮影していたので「青春しているなあ」とよく見てみたら、案の定、帽子に白いネームタグがついていました。というか、装備品展示を見学すらせずにスマートフォンで音楽を聴いていたり、かき氷を食べていたりと凄くのんびりしたOD色作業服にネームタグを付けた集団も見かけ、防衛大学校と防衛医科大学校の校風の違いを察しずにはいられませんでした。
(やはりというか、そんな様子を見て防衛大学校の教官が内心でキレていたとか……)
装備品展示を終えると一連の演習プログラムは終了となり、そのままシャトルバスで御殿場駅に戻り、国府津駅を経由して横浜駅で食事をしてお開きとなりました。
なお、日焼けして肌が赤くなっている様子を見て店員さんから「お兄さんたち、海に行ってきたんですか?」と訊かれてしまいました。まさか「陸上自衛隊の演習を見てきました」と答えるのも気が引けたので「山に行ってきました」と心苦しく答えるに留まりました。
あいにく曇り空がほとんどで少し雨もパラつきましたが、意外と日焼けしていたようです。
末筆ながら、今回は暑い中ご参加いただいた皆さん、お付き合いいただきありがとうございました。
今回ご参加いただけなかった方も10月には「中央観閲式オフ会」も企画しておりますので、ぜひご検討くださいませ。
おまけ。今回のボツ写真。
(発狂)#富士総合火力演習 pic.twitter.com/IUOkDRmqSy
— Horiguchi Hidetoshi (@Hidetoshi_H_) August 26, 2018
せっかくの発砲炎だと言うのに、前の人のスマートフォンと手が映り込んでしまいました。しかもよく見てみると奥には120mm砲弾が映っています。
つくづく惜しいものです。
時計の跡がくっきり。今度からちゃんと日焼け止めを塗りましょう。
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